壁に耳あり、障子に目ありの巻
- 得丸 靖晃
- 2024年8月6日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年9月16日
現在大学3年生の長男凌太郎には、彼女がいるらしい。
その彼女のことを我が家では『パー子』と呼ぶ。
なぜ『パー子』かというと、初めて彼女が我が家に来た時、上から下まで紫のワンピースだったそうで、当初『パープル』と呼ばれていたのが、『パー子』となった。
だから、林家パー子に似ているとかではないらしい。
そして未だに私は彼女の本当の名前を知らない。
長男の彼女のことが我が家の女性陣は気になるらしく、色々と批評がうるさい。
『あの子の服のセンスはどうかと思うわ』
『だいたい凌太郎が甘やかしすぎなのよ』とか。
ある日、彼女が我が家に遊びに来て、凌太郎の部屋にいる時には・・・
まずかつ子。
部屋で悪いことをしてないかと、コーヒーを入れて凌太郎の部屋に忍び足で近づき、ノックと共に間髪入れず『ガラっ!!』と引き戸を開ける。
『ちょっと聞いてよ!パー子は、凌太郎のベッドで横になってマンガを読んでたわ!』
続いて長女。『なんか今度二人で旅行に行くらしいよ』
『なんであんたがそんなこと知ってんのよ』とかつ子。
『ドアに聞き耳を立てたら聞こえたのよ』
続いて次女『なんか彼女、クレヨンしんちゃんがめちゃめちゃ好きらしいよ』
『なんであんたがそんなこと知ってんのよ』
『ドアに聞き耳立てたら聞こえた。』『お前もか!!』
あな恐ろしきかな。姑と小姑。
凌太郎よ、お前の行動は常に監視されている。
根ほり葉ほり凌太郎に彼女のことを聞いては、『私はあの子のことが嫌い』
『凌太郎!あんたそんなに奴隷のように扱われていいの!』
『だいたい、あの子のどこがいいのよ!』
ところが、そこで凌太郎が一言。『なんかママに似ているところがあるんだよね。』
かつ子固まる。
そして、かつ子の奴隷と化した私がここにいる。
時代は繰り返すのだなぁ。